Dr.佐藤のいきいき人生遊び学

2009年05月29日

使われなかった由緒ある免許たち

人生長くやっていると免許と名のつくものをいつの間にか沢山持っていて、
その免許を通して自己の人生の歴史を垣間見ることができます。

例えば戦後間もなく大学に入った頃は、皆な卒業後の就職がどうなることかと不安を抱いていました。
未だ産業が未成熟な時代で、確実に就職できるのは学校教師だけでした。

戦後のベビーブーム、いわゆる団塊の世代の誕生で、
教師の需要があり「デモシカ先生」という合言葉が生まれていました。
それは、しかたがないので、先生にでもなろうかという意味でした。

私も例にもれず、中学と高校の理科の教員免許を取得しました。
しかし、でもしか先生をやらなかったので、その免許のことはすっかり忘れていて、
思い出すこともありませんでした。

ところが最近、私の生家で私の教員免許状が発見され、
百歳の父から「これは必要なものなのか。」と連絡があり、
その時代を想い出す記念品になりました。

その他、珍しい(私にとっては)免許の一つに無線従事者免許というのがあります。
これはアマチュア無線免許とは違い少し位の高い免許です。
なんでそんな免許を持っているのかというと、それには大きな理由があります。

五十歳でスキーを始めた頃、六十歳でリタイアする迄に、フィンランドの私の好きなヨットメーカー、
ナウティーキヤット社に私の設計によるヨットを作ってもらい、
そのヨットで自操し日本まで帰ってくる、という計画を持っていました。

ナウティー社とは設計の話も進んでいました。
そうなると本格的無線があった方がよいと判断、二年がかりで免許を取ったのです。
ところが、時代も変わり六十歳で退職もままならず、六十七歳まで現役を続けることになりました。

結局フィンランドからの自艇による航海を諦め、日本の代表メーカー岡崎造船で作ることになったのです。
この頃になるとGPSという衛星電波による航法器材も開発されていて、
結果として私の無線従事者免許は全くの無用の長物になってしまったのです。

もう一つ、すごく恐ろしい免許を持っています。
その名は甲種火薬類取扱い主任者免許という、いまにも爆発しそうな免許です。

火薬類を取扱うのには勿論免許が必要で、花火を取扱うのには丙種の免許、弾丸、
ダイナマイトなど三百キロ未満の取扱いは乙種免許、無制限に取扱う免許が甲種です。
(主として自衛隊の爆薬担当が必要なもの)

そこで私が何故甲種免許を持っているか一寸した笑い話です。

私が三十代の頃、勤めていた会社に建設用火薬と器材を取扱う部門があり
乙種免許を持った取扱い主任者が必要でした。

免許を借りていた会社は、至上命令で担当者二名に受験をさせていました。
二年たっても一人も合格しないので、私は医療機器の部門にいたのですが、
ピンチヒッターで受験することになりました。勿論乙種の受験です。

真新しい火薬学、取扱い技術や関係法は全く理解ができず、結局、
丸暗記以外に手の出しようがありませんでした。

ところが試験前日、京都から友人が来て、飲みすぎ、二日酔いで受験とあいなり、
その祟りで、乙の問題と甲の問題を間違い、
乙の受験をしているのに甲の問題を選択してしまったのです。

昼休み二日酔いが醒めて、そのことに気付き、試験官に、その旨を話し、
午後の試験をどちらを受けるべきかを伺いをたてました。

試験官は、こんな例は今までなかったと私より青くなり、
本庁に急遽問合せ、その結果午後も甲を受けることになりました。

この取扱いは誰が考えても受かるわけがないということから
本庁はそのような返事を安易に出したに違いありません。

ところが高得点で合格点を取ってしまったのです。
担当者たちはこんな高得点がとれる訳がないということから再試験の打診もありました。
私は再試験でも、再々試験でも、甲種で受けますと返事をしていました。

結局彼等は学科合格を認めました。
多分腹積もりは二次の口頭試験で落とせばいいということだったと思います。

私は必ず難問で来ることを予想し、準備をしました。
学生時代は「山勘のトミー」と威名をとり、試験が近づくと皆んな集まってきて、
私は競馬の予想屋まがいのことをしていました。

私の考えが的中15問正解でクリアー、渋々私に甲種免許を与えざるを得なくなり、
最後は担当が顔を歪めて、素晴らしいとお世辞付きで授与してくれたのです。

ところがこの時、会社の担当の一人が合格したので、
私の由緒ある甲種火薬類取扱い主任者免許が必要なくなり、
今だ名誉ある免許として只々、生き続けています。

この間違い試験が、一生で一番難しい試験でした。
それだけに誇りをもっています。
多分、神が意図的に間違わせたのかも知れません・・・・・と思っています。

投稿者:genbo   日時:2009年05月29日 16:31     コメント(0) | トラックバック(0)

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